STEAM教育は幼児期から?創造力と自信を育む世界の研究をやさしく解説

AI(人工知能)の急速な進化とともに、社会で求められる力が大きく変わりつつあります。

その流れを受けて、いま世界の幼児教育で話題になっているのがSTEAM教育です。

とはいえ、小さな子どもに科学や工学は早すぎるのでは、と感じる人もいるかもしれません。

今回は、幼児期のSTEAM学習の効果を整理した海外の論文をもとに、その疑問に答えていきましょう。

 

 

 

幼児のSTEAM教育で伸びる4つの力

 

保育室で科学あそびに夢中になる幼児たちの様子

 

世界の研究を集めた文献レビュー

 

STEAMとは、5つの学びの分野の頭文字をつなげた言葉。

具体的には、科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・芸術(Arts)・数学(Mathematics)を指します。

今回手がかりにするのは、研究者のSiti Wahyuningsihさんたちが2020年に発表した文献レビューです。

幼児教育のSTEAMを扱った論文や書籍を幅広く集め、その効果を丁寧に整理しています。

 

創造力や問題解決力が伸びると報告

 

レビューの結果、STEAMが子どもの考える力に良い影響を与えることが繰り返し報告されてきました。

 

  • 創造力(クリエイティビティ)
  • 問題解決力
  • 科学的に探究する力
  • 批判的思考力(クリティカルシンキング)

 

これらは、変化の激しい21世紀を生き抜くために欠かせない力だと考えられます。

机に向かう勉強ではなく、遊びを通した体験の中で養われていく点も見逃せません。

 

子どもが学びの主役になる

 

さらに注目したいのは、STEAMを経験した子どもがより活動的になるという点です。

自分から進んで知識を得ようとする、学びの主体性が育つと示されました。

教えられるのを待つのではなく、自ら世界を探究する姿勢こそが、このレビューが伝える一番の発見。

 

ポイント

STEAM教育は、創造力や問題解決力といった考える力に加え、自分から学ぶ主体性も育てると報告されています。

 

なぜ理系の学びに芸術を加えるのか

 

絵の具を使って自由に表現を楽しむ子どもの創作活動

 

STEMにアートを足した意味

 

もともとは、芸術を除いた4分野をまとめたSTEM(ステム)教育が世界の主流でした。

そこに芸術(Arts)が加わったことで、表現力や感性まで含む総合的な学びへと広がっています。

論文は知識のようなハードスキルと、協調性のようなソフトスキルを結びつけられる点に注目していました。

日本でも幼児向けの科学あそびやものづくり教材が増え、STEAMは身近な存在になりつつあります。

 

自信を育てるという意外な効果

 

ここで興味深いのは、STEAMの経験が子どもの自信を高めるという発見です。

試行錯誤の末に作品や答えへたどり着く経験が、自分にもできたという手応えにつながるのでしょう。

学力だけでなく、心の育ちにも関わるのは見逃せない点ではないでしょうか。

 

先生の学びが子どもに届く

 

もう一つの発見は、教える側の学びの大切さにあります。

STEAMの専門的な研修を受けた先生は、その学びを通して子どもに良い影響を与えると示されています。

これは、教育の現場だけでなく家庭での関わりにも当てはまる話だと考えられます。

大人が学び続ける姿そのものが、子どもの成長を支える土台になると言えそうです。

 

ポイント

STEAMの効果は考える力にとどまらず、子どもの自信や、関わる大人の成長にも及ぶことが分かっています。

 

家庭や園でできるSTEAMの工夫

 

積み木を組み立てながら試行錯誤する子どもの遊びの場面

 

毎日の観察を学びの入り口にする

 

論文によると、幼児期のSTEAMは日常の観察を通して、遊びと一体で行われるのが特徴です。

特別な教材がなくても、身の回りの自然や道具が立派な学びの材料になります。

例えば、水たまりの大きさ比べや落ち葉の色集めも、科学と数学の入り口と言えるでしょう。

散歩で見つけた虫や雲の形を、一緒に不思議がることから始めてみませんか。

 

質問を止めずに一緒に調べる

 

STEAMは、観察し、調べ、質問しながら世界についての知識を築く学びだとされています。

「なぜ?どうして?」

という子どもの問いは、探究の出発点そのものです。

すぐに答えを教えるより、一緒に予想したり図鑑で調べたりする関わりが効果的でしょう。

 

作って試す遊びを取り入れる

 

工学の視点は、積み木や廃材工作など、作って試す遊びの中で自然に育ちます。

うまくいかない時こそ、どうすれば良くなるかを考える絶好のチャンスかもしれません。

ただし本研究は文献のレビューであり、効果の現れ方には個人差がある点も心に留めたいところです。

 

ポイント

高価な教材よりも、観察・質問・試行錯誤という日常の関わりこそが、STEAMの土台になります。

 

まとめ

 

先生と子どもたちが一緒に学び合う明るい教室の風景

 

幼児期のSTEAM教育は、創造力や問題解決力、そして自信までも育む有望な学び方だと示されました。

その学びの場は特別な教室ではなく、毎日の観察や遊びの中にあります。

立場を問わず、子どもと一緒に探究を楽しむ視点が何より大切だと言えるでしょう。

 

  • STEAMは5つの分野を統合した21世紀型の学び
  • 創造力・問題解決力・自信を育むと報告
  • 日常の観察と質問が実践の第一歩

 

ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。

 

【参考論文】

STEAM Learning in Early Childhood Education: A Literature Review

著者:Siti Wahyuningsih, Novita Eka Nurjanah, Upik Elok Endang Rasmani, Ruli Hafidah, Adriani Rahma Pudyaningtyas ほか(2020年)

DOI:https://doi.org/10.20961/ijpte.v4i1.39855

 

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