スマホで思春期の心は病む?2020年の大規模研究が示した意外な事実

今、10代の多くが1日に数時間をスマホやSNSに使っています。

ある調査では、思春期の子どものスマートフォン所有率は9割を超えると報告されています。

これほど常時つながる生活が、心を傷つけているのではと心配されています。

不安やうつが増えた背景に、デジタル機器があるという声も少なくありません。

けれど、本当にそう言い切れるのでしょうか。

 

 

 

スマホ利用と思春期メンタルの関係は小さかった

 

スマホを使う思春期の子どもの様子

 

スマホと心の関係について、私たちはつい大げさに考えがちです。

しかし研究が積み重ねてきた事実は、少し違う姿を見せています。

 

  • まとめた期間:2014〜2019年の研究
  • 対象:思春期の子どもと若者
  • 注目点:うつと不安との関係

 

手がかりは2020年の大規模な研究

 

今回手がかりにするのは、研究者のCandice L. Odgersさんたちが2020年に発表した調査です。

2014年から2019年までの多くの研究をまとめ直した総説になります。

デジタル機器の利用と、思春期のうつや不安の関係を丁寧に整理しています。

結論から言うと、両者の関係はとても小さいものでした。

 

相関はあってもごくわずか

 

利用時間が長い子ほど、心の状態がやや低いという関係は見られました。

ただ、その関係の強さはごくわずかだったと報告されています。

研究者らは、臨床でも実生活でも意味を持ちにくい大きさだと見ています。

つまり、スマホが心を大きく損なうという証拠は乏しいという結果でした。

 

大人向けの研究が多かった

 

これまでの研究の多くは、思春期ではなく大人を対象にしていました。

子ども自身を長く追いかけた調査は、意外と少なかったと分かっています。

だからこそ、思春期に絞った近年の研究が注目されているのではないでしょうか。

 

ポイント

スマホ利用と心の関係は確かにあるものの、その大きさはごくわずかです。

 

なぜ研究結果はバラバラだったのか

 

バラバラな研究データを表すグラフ

 

研究の結果は、実は一つにまとまっていませんでした。

ここで興味深いのは、その理由が測り方にも隠れている点です。

 

  • 正の関係:ごく一部の研究
  • 負の関係:これもごく一部
  • 関係なし:数多く報告

 

結果はプラスもマイナスも入り混じった

 

過去の研究を並べると、良い影響も悪い影響も報告されています。

まったく関係が見られなかったという研究も少なくありません。

小さな正の関係と負の関係、そしてゼロが入り混じっていました。

この混在こそ、話をややこしくしてきた原因の一つと考えられます。

 

利用時間は正確に測りにくい

 

多くの研究は、本人の申告でスマホの利用時間を尋ねています。

ところが人は、自分の利用時間を正確には覚えていないものです。

実際の利用記録とのズレも指摘されています。

測り方が曖昧なままでは、結論もぶれてしまうのではないでしょうか。

 

相関と因果は別物

 

仮に関係が見つかっても、それは相関にすぎません。

スマホが心を沈ませたのか、沈んだ心がスマホに向かわせたのか。

今の研究では、その向きを見分けられないと明らかになりました。

ここを混同しない姿勢が、何より大切だと言えるでしょう。

 

ポイント

デジタル機器の利用時間だけを見ても、心の健康は説明しきれません。

 

家庭や学校でデジタルとどう付き合うか

 

家庭で子どもと対話する場面

 

では、この研究を日々の暮らしにどう活かせるでしょうか。

鍵になるのは、時間の数字に振り回されない姿勢です。

 

  • 使う中身と目的を一緒に振り返る
  • 睡眠や表情の変化に気を配る
  • 数字だけで判断しない

 

時間より使い方に目を向ける

 

大切なのは、利用時間の数字だけを敵視しないことです。

同じ1時間でも、友達との交流と一人の不安な検索では意味が違います。

何のために使っているのかを、一緒に振り返ってみましょう。

現場では、使う中身に関心を向ける声かけが役立ちます。

 

対話で心のサインに気づく

 

心の不調は、スマホの有無だけでは見抜けません。

睡眠や食欲、表情の変化にこそ手がかりがあります。

家庭や学校では、日々の対話を絶やさないことが助けになります。

気になる様子があれば、専門家に相談してみてはどうでしょうか。

 

相関であって因果ではないと知る

 

ここで正直にお伝えしたい点があります。

今回の研究は相関を示したもので、因果を証明したものではありません。

スマホを取り上げれば心が回復する、とは限りません。

過度に恐れず、事実に基づいて向き合いたいところです。

 

ポイント

時間の制限だけに頼らず、使い方と心のサインの両方に目を配りましょう。

 

まとめ

 

穏やかに過ごす思春期の子ども

 

スマホやSNSが思春期の心を蝕むという不安は、根強くあります。

けれど最新の研究は、その関係がごく小さいと教えてくれました。

数字に惑わされず、子ども一人ひとりの様子を見つめたいところです。

 

  • 利用時間と心の関係はごくわずか
  • 相関であり因果ではない
  • 時間より使い方と対話が鍵

 

ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。

 

【参考論文】

Annual Research Review: Adolescent mental health in the digital age: facts, fears, and future directions

著者: Candice L. Odgers, Michaeline Jensen(2020年)

DOI: https://doi.org/10.1111/jcpp.13190

 

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