親の健康リテラシーが子どもの睡眠の質を左右する?日本の研究が示した意外な関係

子どもがなかなか寝つかない、夜中に何度も起きる、朝すっきり起きられない、といった場面に出会ったことはないでしょうか。

睡眠は心と体の成長を支える大切な土台です。

ところが幼児期の睡眠トラブルは原因が複雑で、何が背景にあるのかはっきり分かっていない部分も多いとされてきました。

実は、子ども本人の生活習慣だけでなく、周囲の大人がもつ健康に関する知識や判断力が、子どもの眠りに静かな影響を与えているかもしれません。

今回ご紹介するのは、2021年にSae Ono氏らが発表した論文

「Relationship between parents’ health literacy and children’s sleep problems in Japan」

です。

北海道千歳市の保育園・幼稚園に通う子ども354人と、その家族を対象に、健康リテラシーと睡眠の関係を調べた興味深い研究になっています。

家庭はもちろん、学校や保育の現場でも応用できるヒントが見えてきますよ!

 

 

 

論文の概要

 

ベッドで安らかに眠る子どもの様子

 

研究の対象と目的

 

この研究は、保護者の健康リテラシーと、3〜6歳の子どもの睡眠問題との関係を探ったものです。

健康リテラシーとは、健康に関する情報を集め、理解し、判断して活用する力のことを指します。

つまり、ネットや本で得た情報を正しく読み解き、生活に活かせるかどうかという力量を意味します。

この力が高い大人のもとで育つ子どもは、睡眠の質も違ってくるのではないか、という問いから始まった研究です。

 

どのように調べたか

 

調査は北海道千歳市にある幼稚園2園、保育園2園、認定こども園1園で行われました。

子どもの睡眠は、日本版子どもの睡眠習慣質問票(CSHQ-J)という信頼性の高い指標で測定されています。

一方、大人の健康リテラシーは14項目からなる健康リテラシースケール(HLS-14)で評価されました。

その上で、健康リテラシーが高いグループと低いグループに分け、子どもの睡眠スコアと比較する手法がとられています。

 

  • 対象:3〜6歳の未就学児354組
  • 地域:北海道千歳市の5施設
  • 方法:多施設横断研究・質問紙調査

 

結果の概要

 

354組のうち、健康リテラシーが高いグループは255組(72%)、低いグループは99組(28%)という内訳でした。

子どもの睡眠スコアは、高リテラシー群で平均45.3点、低リテラシー群で46.8点という結果でした。

このスコアは点数が低いほど睡眠の状態が良いことを示します。

 

ポイント

大人の健康リテラシーが高いほど、子どもの睡眠トラブルが少ない傾向が統計的に確認されました。

 

分かったこと

 

寝る前に子どもへ本を読む保護者の姿

 

最も重要な発見

 

多くの要因を調整して分析した結果、保護者の健康リテラシーは子どもの睡眠スコアと独立して関連していました。

これは年齢や性別、生活背景といった他の影響を取り除いても、なおリテラシーが睡眠に効いていたという意味です。

大人の情報活用力そのものが、子どもの眠りに影響を与えていると読み取れる結果でした。

これは従来あまり注目されてこなかった視点だと言えるでしょう。

 

もう一つの注目ポイント

 

研究では、健康リテラシーが低いグループの割合が約3割にのぼっていました。

つまり決して少数派ではないという事実が浮かび上がっています。

健康に関する情報があふれる時代だからこそ、正しく選び取る力がいっそう重要になってきたのかもしれません。

情報の量と質が必ずしも一致しない現代では、誰もが直面しうる課題と言えます。

 

意外な結果や副次的な気づき

 

興味深いのは、健康リテラシーは

「知識量」

だけでは測れないという点です。

得た情報を判断し、行動に移すところまでが含まれます。

つまり睡眠の重要性を知っているだけでは不十分で、生活リズムや寝室環境を整える実行力までが問われるという見方もできます。

 

  • 情報を探す力
  • 情報を理解・判断する力
  • 得た知識を生活に活かす実行力

 

これらが必要なのです!

 

日常で活かせること

 

朝食の食卓で語り合う家族の風景

 

信頼できる情報源を意識して選ぶ

 

子どもの睡眠について調べるとき、まずは情報源を見極めてみましょう。

SNSの体験談だけでなく、小児科学会や厚生労働省などの公的サイトを併用したいところです。

家庭でも学校でも、情報の出どころを確認する習慣が大きな力になります。

子ども自身にも、信頼できる情報の見分け方を一緒に考える機会を持つとよいでしょう。

 

睡眠を「家族や教室の話題」にする

 

睡眠の話題は、つい個人の問題として閉じてしまいがちです。

そこで、夕食時や朝の会など日常の中で

「昨日はよく眠れた?」

と気軽に話してみてはどうでしょうか。

家庭でも教育現場でも、眠りを共通の関心事にすることが情報共有の第一歩になります。

言葉にすることで、睡眠の質を意識するきっかけが生まれます。

 

学んだ知識を小さな行動に変える

 

知識は実践につながって初めて意味を持ちます。

たとえば

「寝る1時間前は画面を見ない」

と決めて家族や学級で実行してみるのも一案です。

 

実践のヒント

大きな改革ではなく、毎日続けられる小さなルールから始めるのが長続きのコツです。

小さな成功体験が、健康リテラシーをさらに育てる好循環につながります。

 

まとめ

 

朝の机に置かれた目覚まし時計とノート

 

今回ご紹介した研究からは、大人の健康リテラシーが子どもの睡眠の質と深く関わっていることが示されました。

これは家庭だけでなく、学校・保育・地域すべての関係者にとって重要な視点ではないでしょうか。

 

  • 大人の情報活用力は子どもの眠りに影響する
  • 信頼できる情報源を選ぶ習慣が鍵になる
  • 知識を小さな行動に変えることが大切

 

ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。

 

【参考論文】

Relationship between parents’ health literacy and children’s sleep problems in Japan

著者: Sae Ono, Hiroto Ogi, Masato Ogawa, Daisuke Nakamura, Teruhiko Nakamura ほか(2021年)

DOI: https://doi.org/10.1186/s12889-021-10864-z

 

スカラーマネジメント株式会社 
〒135-0062 東京都江東区東雲1丁目6番23号 ストーン東雲101 TEL 03-6204-2747 (月~土 14時から22時まで)

URLをコピーしました!