視線がそろうと学びは深まる?二人の目を同時に測る研究が示したこと

誰かに何かを教える時、それは一方通行だと思っていませんか。

大人が教え、子どもが受け取る、という単純な流れに見えます。

けれど学びの場では、教える側の視線も静かに動いています。

子どもの見方が変わり、同時に大人の見方も変わっていきます。

そんな双方向の学びを視線から捉えた研究があります。

 

 

 

二人の視線を同時に測ると分かること

 

絵本を一緒に見つめる大人と子どもの様子

 

アイトラッキングで視線を追う技術

 

今回手がかりにするのは、研究者のY.K. Smirnovaさんが2023年に発表した調査です。

用いられたのは、視線の動きを測るアイトラッキングという技術でした。

特別な点は、大人と子どもの視線を同時に記録したところにあります。

二人分を一度に追うこの方法は、DUETと呼ばれています。

つまり学びを二人の視線から同時に捉えたのが大きな特徴。

 

二つのグループの子どもを比べた

 

調査の対象になったのは、就学前の子どもたちでした。

研究では二つのグループに分け、視線の動きを比べています。

大人と子どもの双方が、眼鏡型の機器を身につけて取り組みました。

 

  • 対象:就学前(幼児期)の子ども
  • グループ1:定型発達の子ども
  • グループ2:人工内耳を使う聴覚に困難のある子ども
  • 方法:大人と子どもが眼鏡型の視線計測機器を装着

 

視線がそろうほど学びが進む

 

分析から見えてきたのは、視線の重なり方の大切さです。

大人と子どもの視線がそろう場面ほど、学びが深まりました。

視線が止まる位置や動く道筋の似かたに、違いが現れています。

言い換えると、二人の見方のつながりが学びを支えていたと考えられます。

 

ポイント

学びは、教える内容を渡すだけでは進みません。

大人と子どもの視線がそろう時間そのものが、学びの土台になると分かってきました。

 

子どもによって大人の視線も変わる

 

視線を測る眼鏡型の計測機器のイメージ

 

グループごとに違う見方の作戦

 

二つのグループは、見方の作戦そのものが違っていました。

課題に関わる場所への視線の向け方に、特徴が出ています。

同じ課題でも、目の動かし方は一様ではなかったようです。

子どもはそれぞれのやり方で、世界を捉えていると言えるでしょう。

 

大人の視線は相手に合わせて変わる

 

ここで興味深いのが、大人の側の視線の動きです。

相手の子どもによって、大人の見方も変化していました。

子どもの見方の特徴に合わせ、視線を整えていたと推察されます。

教える側もまた、無意識に相手へ寄り添っていたのではないでしょうか。

 

教え合いで両者がともに変化する

 

最も大きな発見は、変化が双方向だったという点でした。

教え学ぶ過程で、大人と子どもの見方がともに変わっています。

つまり学びは大人も子どもも変える営みでした。

 

ポイント

大人は教えながら、相手に合わせて自分の見方を変えています。

学びの場は、大人と子どもが互いを映し合う場だと言えそうです。

 

家庭や現場で視線を活かす工夫

 

同じものを一緒に見て学ぶ親子の場面

 

同じものを一緒に見る時間を作る

 

家庭や学校で、まず試したいのが一緒に見る時間です。

同じ絵本や物を、大人と子どもでじっと見つめてみましょう。

同じものを一緒に見る時間が学びの土台になります。

 

相手の視線に合わせて教える

 

次に、相手の視線をよく観察してみてはどうでしょうか。

子どもがどこを見ているかに、教え方のヒントがあります。

相手の見ている所へ、言葉や指さしをそっと添えてみましょう。

視線がそろった瞬間こそ、伝わりやすい機会だと考えられます。

 

断定せず手がかりとして活かす

 

ただし、結果の受け取り方には注意も必要です。

今回は少人数の幼児を比べた調査だという点があります。

視線の同期が学びを生むと断定するには、さらなる検証が求められます。

あくまで一つの手がかりとして、日々の関わりに活かしたいところです。

 

今日からできること

子どもがどこを見ているかを、まず一呼吸おいて確かめてみてください。

相手の視線に合わせるだけで、伝わり方が変わるはずです。

 

まとめ

 

目を合わせて学び合う大人と子ども

 

学びは、大人から子どもへの一方通行ではありませんでした。

視線を同時に測る研究から、互いの見方が変わり合う姿が見えてきます。

 

  • 視線がそろう場面ほど学びが深まる
  • 大人の見方も相手の子どもに合わせて変わる
  • 同じものを一緒に見る時間を意識的に作る

 

ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。

 

【参考論文】

APPLICATION OF EYE-TRACKING TECHNOLOGY DUAL EYE TRACKING (DUET) IN THE STUDY OF COOPERATION BETWEEN CHILDREN WITH ATYPICAL DEVELOPMENT AND ADULTS IN THE LEARNING PROCESS

著者: Y.K. Smirnova(2023年)

DOI: https://doi.org/10.61365/forum.2023.078

 

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