AIリテラシーを4つの視点で測る、新しい評価ツールABCEの全貌

32項目の質問、363人の中高生、4つの視点。

これは新しいAIリテラシー評価の鍵となる数字です。

2023年にDavy Tsz Kit Ng氏らが発表した論文

「Design and validation of the AI literacy questionnaire」

では、中高生のAI理解度を測る尺度AILQが提案されました。

香港の中学生363名を対象に検証され、信頼できる評価ツールとして報告されています。

AIが日常に入り込む現代、学びの成果を多面的に見える化する試みが注目を集めています。

本記事では研究の中身と、家庭や学校で活かせるヒントを紹介します。

 

 

 

論文の概要

 

教室でAIについて学ぶ中高生たちの様子

 

研究の対象と目的

 

本研究の目的はAIリテラシーを測る信頼性の高い尺度の開発でした。

これまで学習者のAI理解を客観的に評価する手段が不足していたためです。

研究者らは情意・行動・認知・倫理という4つの側面に着目しています。

頭文字を取って

「ABCEフレームワーク」

と呼ばれます。

 

どのように調べたか

 

研究はいくつかの段階を踏んで進められました。

まず先行研究を整理し、必要な評価項目を抽出しています。

次に専門家による判定や面接、予備調査を実施した流れです。

最後に統計的手法で因子構造を確認しました。

 

ポイント

AILQは32項目から成り、香港の中学生363名を対象に予備調査が行われました。

 

結果の概要

 

分析の結果、4因子構造の妥当性が確認されています。

信頼性も十分に高い値が得られたという報告です。

つまりAILQはAIリテラシーを実用的に測れる尺度と言えるでしょう。

授業設計や学習評価の場で、今後の活用が期待されます。

 

分かったこと

 

研究データの分析グラフとノートのイメージ

 

最も重要な発見

 

最大の発見はABCEの4因子が独立して機能していた点です。

情意・行動・認知・倫理がそれぞれ別の学びの軸として浮かび上がっています。

つまり知識だけではAIリテラシーは測れないという見方もできます。

心の動きや実際の行動、価値判断まで含めて捉える必要があるでしょう。

 

  • 情意:AIへの興味や自己効力感
  • 行動:実際に使う力と協働する姿勢
  • 認知:知識の理解・応用・評価・創造
  • 倫理:責任を持って使う判断力

 

もう一つの注目ポイント

 

32項目のAILQは高い内部一貫性を示しました。

これは何度測っても安定した結果が得られることを意味します。

学校現場で繰り返し使える尺度として価値があるのではないでしょうか。

研究者にとっても教育実践者にとっても、共通の物差しになると考えられます。

 

意外な結果や副次的な気づき

 

注目したいのは倫理が独立した因子として浮かんだ点です。

AIをただ使える能力と、責任を持って使える能力は別物でした。

子どもや学生にAIを教える際の重要な示唆と言えるでしょう。

技術と倫理は車の両輪として育てる必要があります。

 

日常で活かせること

 

家庭で一緒にタブレットを使う親子のイメージ

 

AIに触れる機会を意図的に作る

 

まずはAIに触れる経験を増やしてみてはどうでしょうか。

情意の側面、つまりAIへの興味や自信は実体験で育ちます。

翻訳アプリや画像生成AIを一緒に試すのも有効な方法です。

身近な題材で扱うことで、抵抗感が和らぐと考えられます。

 

4つの視点で学びを振り返る

 

学びを振り返るときABCEの4視点を使ってみましょう。

楽しめたか、実際に使えたか、仕組みを理解できたか、責任を持てたかを問います。

偏りなく成長を確認できる便利な枠組みです。

学びの全体像を見える化する習慣が育っていきます。

 

倫理について話し合う場を持つ

 

意外と見落とされがちなのが倫理の対話です。

AIが出した答えをそのまま信じてよいかを話し合ってみましょう。

個人情報や著作権の問題も身近な題材になります。

こうした対話の積み重ねが、責任ある使い手を育てると考えられます。

 

まとめ

 

学びに前向きに取り組む笑顔の学生

 

AIリテラシーは知識だけでは測れない多面的な力です。

ABCEの4視点で捉えると、学びの全体像が見えてきます。

 

  • 情意と行動を支える実体験を増やす
  • 4つの側面で偏りなく学びを振り返る
  • 倫理について対話する習慣を持つ

 

ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。

 

【参考論文】

Design and validation of the AI literacy questionnaire: The affective, behavioural, cognitive and ethical approach

著者:Davy Tsz Kit Ng, Wenjie Wu, Jac Ka Lok Leung, Thomas K. F. Chiu, Samuel Kai Wah Chu(2023年)

DOI:https://doi.org/10.1111/bjet.13411

 

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