質問する力が創造性を伸ばす|第二言語学習に潜む意外な効果

北陸先端科学技術大学院大学の研究チームが発表した論文をご存じでしょうか。

2023年にXiaoling Yu氏らが発表した

「Creativity development through questioning activity in second language education」

という論文があります。

この研究は、第二言語の授業で学習者自身が質問を作る活動を取り入れた実験をまとめたものです。

対象は日本の大学で日本語を学ぶ81名の学生でした。

結果として、質問する力を鍛えると創造性と語学力が同時に伸びることが示されました。

本記事では、この研究の内容をやさしく解説し、日常の学びにどう活かせるかを考えていきます。

 

 

 

論文の概要 – どんな研究か・誰が対象か

 

大学の教室で学生たちが話し合う様子

 

この研究は、Xiaoling Yu氏、Tzu-Yang Wang氏、Takaya Yuizono氏の3名によって行われました。

舞台となったのは、日本の大学の第二言語(日本語)の授業です。

参加したのは81名の大学生でした。

研究チームは、4週間にわたって全8回の授業を実施しました。

授業では、学生がまず記事を読み、その内容について自分で質問を作ります。

そのあと、作った質問をもとにグループで話し合う時間が設けられました。

ここで重要なのは、ただ質問させるのではないという点です。

学生には

「高次の質問」

の作り方が事前に教えられたのです。

高次の質問とは、単純に事実を確認するだけではない質問のことを指します。

たとえば

「なぜそうなるのか」

「もし違う状況ならどうなるか」

といった問いです。

研究者たちは、介入の前後で3つのテストを実施しました。

 

  • 質問する力のテスト
  • 創造的思考のテスト
  • 言語能力のテスト

 

この3つを比較することで、質問活動がどんな効果をもたらすかが丁寧に調べられました。

 

わかったこと – 難しい内容をやさしく要約

 

ノートに質問を書き込む学生の手元

 

研究の結果は非常に興味深いものでした。

まず、学生が作る質問の量も質も大きく向上しました。

単に質問の数が増えただけでなく、内容も深くなっていったのです。

次に、創造的思考のテストでも明確な変化が見られました。

具体的には、流暢性・柔軟性・独創性という3つの指標がすべて伸びたのです。

流暢性とは、たくさんのアイデアを出す力を指します。

柔軟性は、さまざまな視点から考える力のことです。

独創性は、人とは違うユニークな発想をする力を意味します。

質問を作る習慣がこの3つを同時に押し上げたという点は見逃せません。

さらに、第二言語としての日本語の力も伸びていました。

語彙と文法、そして総合スコアのすべてで有意な向上が確認されたのです。

研究者はこう結論づけています。

「質問する活動は、創造性と語学力を同時に育てる有効な方法である」

特に印象的なのは、質問する力の伸びが最も大きかったという点です。

質問する力は、イノベーションを生み出す思考力そのものだと位置づけられています。

 

ポイント

質問を作る活動は、単なる理解の確認ではなく、創造性と語学力を同時に鍛える学習法です。

 

日常で活かせること – 実践的活用法・3つ以上の具体策

 

本を囲んで議論する学習グループ

 

この研究結果は、私たちの学びや教育の現場にどう活かせるでしょうか。

ここでは3つの具体的な方法を紹介します。

 

1. 読んだあとに「自分で問い」を立てる

 

本や記事を読んだあと、内容を要約するだけで終わらせないことが大切です。

読み終わったら、自分で質問を3つ作ってみましょう。

このとき意識したいのが、答えがすぐには出ない問いを選ぶことです。

「なぜこうなったのか」

「別の方法はなかったのか」

と問いかけてみます。

こうした深い問いが、創造性を刺激してくれます。

 

2. 質問を共有して話し合う

 

作った質問は、自分の中に閉じ込めないことがポイントです。

家族や友人、クラスメイトと問いを交換してみましょう。

自分では思いつかなかった視点に出会えます。

学校の授業や家庭の対話、読書会など、どんな場面でも応用できます。

互いの質問に答え合うことで、考える力がさらに広がっていきます。

 

3. 語学学習に質問活動を組み込む

 

外国語を学んでいる人には、特におすすめの方法があります。

教材を読んだあと、その言語で質問を作ってみるのです。

最初はうまく書けなくても構いません。

質問を作る過程そのものが語彙と文法を鍛えるからです。

研究でも、語彙や文法のスコアが伸びたことが確認されています。

受け身の学習から、能動的な学習へと切り替えるきっかけになります。

 

ポイント

読む・話す・書くといった日常の学びに、質問を作る時間を少し加えるだけで効果が期待できます。

 

まとめ

 

創造的な学びをイメージする電球と本

 

今回は、質問活動が創造性と語学力を伸ばすという研究を紹介しました。

学びの中心に問いを置くことが創造性を育てる鍵になります。

 

  • 質問を作ると創造的思考の3要素が伸びる
  • 語学学習でも語彙と文法の力が向上する
  • 高次の問いを意識することが重要

 

ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。

 

【参考論文】

Creativity development through questioning activity in second language education

著者: Xiaoling Yu, Tzu-Yang Wang, Takaya Yuizono(2023年)

DOI: https://doi.org/10.3389/feduc.2023.1178655

 

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