デジタル学習で学生のやる気は高まる?243の研究から見えた真実

ドイツのオルデンブルク大学などの研究チームが、興味深い論文を発表しました。

Melissa Bond氏らが2020年に公開した

「Mapping research in student engagement and educational technology in higher education」

という研究です。

これは2007年から2016年までに発表された243本もの論文を体系的に整理した大規模なレビュー研究です。

デジタル技術が学生の学習意欲や取り組み方にどう影響するのかを、まるで地図を描くように可視化しました。

学校や家庭でタブレットやオンライン教材を使う機会は、今や当たり前になっています。

しかし「本当に子どもたちの学びは深まっているのかという疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。

この記事では、その研究の中身をやさしく解説し、日常の学びに活かせるヒントをお届けします。

 

 

 

論文の概要 – どんな研究か・誰が対象か

 

ノートパソコンで学ぶ大学生たちの様子

 

この研究は

「システマティック・エビデンスマップ」

という手法を使っています。

これは特定のテーマに関する研究全体を地図のように見渡す方法です。

Bond氏らのチームは、2007年から2016年の10年間に発表された論文を徹底的に調査しました。

最終的に243本の論文が分析対象に選ばれたのです。

対象は主に高等教育、つまり大学生の学びに関する研究でした。

 

「学習エンゲージメント」とは何か

 

研究の中心となるのは

「学生エンゲージメント」

という考え方です。

これは学びへの積極的な関わり方を示す言葉です。

具体的には3つの側面に分かれています。

 

  • 行動面:実際に課題に取り組む行動
  • 感情面:学びを楽しいと感じる気持ち
  • 認知面:深く考えようとする姿勢

 

この3つがそろって初めて、本当に学びが深まると考えられています。

 

研究の偏りも明らかに

 

興味深いことに、研究の地域的な偏りも浮き彫りになりました。

論文の多くはアメリカとイギリスで行われたものでした。

アジアやアフリカなど、いわゆる南半球の国々の研究は非常に少なかったのです。

分野としては人文科学、教育学、自然科学が中心でした。

 

わかったこと – 難しい内容をやさしく要約

 

オンライン学習の研究データを分析するイメージ

 

研究から見えてきたことはとても示唆に富んでいます。

まず、デジタル技術を使った授業では行動面のエンゲージメントが最も高まりやすいことがわかりました。

つまり、学生が実際に手を動かして取り組む姿勢が増えるのです。

次に多かったのが感情面、そして認知面という順でした。

 

使われていたツールの特徴

 

研究で取り上げられたツールには共通点がありました。

最も多かったのは対面授業とオンラインを組み合わせた

「ブレンド型学習」

です。

次にディスカッションフォーラムなど文字でやり取りするツールが多く使われていました。

意外にも、動画や最新アプリよりもテキスト中心のツールが主流だったのです。

 

研究の課題も浮き彫りに

 

一方で、気になる課題も見つかりました。

論文の多くがエンゲージメントの定義をはっきり示していなかったのです。

理論的な枠組みに基づいた研究も全体の半分以下でした。

 

ポイント

デジタル技術は学びへの取り組み姿勢を高める効果がありますが、深く考える力まで育てるには工夫が必要だとわかりました。

 

日常で活かせること – 実践的活用法

 

教室でタブレットを使って学ぶ学生

 

では、この研究をどう日常の学びに活かせばよいのでしょうか。

家庭でも教室でも使える3つの具体策を紹介します。

 

1.対面とデジタルをバランスよく組み合わせる

 

研究で効果が高かったのはブレンド型学習でした。

つまり、デジタルだけに頼らない姿勢が大切なのです。

例えば、動画で予習してから対面で議論するという流れが効果的です。

デジタルと人との関わりを組み合わせることが学びを深める鍵といえます。

 

2.書いて考える場をつくる

 

研究ではテキストベースのやり取りが効果的でした。

書くことで思考が整理されるからです。

家庭では学習日記やオンライン掲示板を使ってみましょう。

教室ではチャットでの感想共有も有効な手段になります。

 

3.3つの側面を意識して声かけする

 

エンゲージメントには行動・感情・認知の3つの面があります。

行動面だけでなく感情や思考にも目を向けましょう。

「楽しかった?

」だけでなく「どう考えた?

」という問いも大切です。

 

ポイント

デジタル教材を使うときは、ただ触らせるだけでなく、何をどう感じ考えたかを振り返る時間を必ず設けましょう。

 

4.使う目的をはっきりさせる

 

タブレットやアプリは便利ですが、目的がないと効果は薄くなります。

「今日はこのツールで何を学ぶのか」

を最初に共有しましょう。

目的が明確だと、自然と主体的な取り組みが生まれます。

 

まとめ

 

ブレンド型学習でのグループディスカッション風景

 

この研究は、デジタル技術と学びの関係を俯瞰的に示してくれました。

大切なのは技術を使うこと自体ではなく使い方の工夫なのです。

 

  • ブレンド型学習でバランスを取る
  • 書いて考える機会を意識的につくる
  • 行動・感情・思考の3つに目を向ける

 

ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。

 

【参考論文】

Mapping research in student engagement and educational technology in higher education: a systematic evidence map

著者: Melissa Bond, Katja Buntins, Svenja Bedenlier, Olaf Zawacki‐Richter, Michael Kerres(2020年)

DOI: https://doi.org/10.1186/s41239-019-0176-8

 

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