幼児教育で広がる教育ロボット、先生の約半数が抱える不安の正体とは

幼児教育の現場で、今

「教育ロボット」

という新しい学びの道具が注目を集めています。

ある調査では、201名の幼児教育に関わる先生のうち、約半数しか積極的な姿勢を示さなかったという結果が出ています。

つまり、2人に1人の先生が、教育ロボットの活用に不安や迷いを抱えているのです。

この事実を明らかにしたのが、2021年にStamatios Papadakis氏らが発表した論文

「Attitudes towards the Use of Educational Robotics」

です。

研究では、現役の先生と、これから先生になる学生の両方を対象に調査が行われました。

先生の年齢や経験年数が、ロボット活用への前向きさと深く関わっていることがわかったのです。

この記事では、その研究内容を誰にでもわかるようにやさしく解説していきます。

 

 

 

論文の概要 – どんな研究か・誰が対象か

 

幼児教育の先生と子どもたちが学ぶ教室の様子

 

この研究は、ギリシャの研究チームによって行われました。

調査対象は、幼児教育に関わる201名の先生と学生です。

具体的には、すでに現場で働いている現役の先生と、これから先生を目指す学生の両方が含まれています。

研究の目的は、教育ロボットに対する先生たちの考え方を探ることでした。

ここでいう教育ロボットとは、子どもが遊びながらプログラミングや論理的思考を学べる道具のことです。

たとえば、床の上を動き回る小さなロボットに、進む方向を命令する遊びなどがあります。

幼児期からSTEM教育に親しむことの重要性が、世界中で高まっているのです。

STEMとは、科学・技術・工学・数学の4つの分野を合わせた学びのことを指します。

研究チームは、アンケート調査の結果を

「潜在クラス分析」

という方法で分類しました。

これは、似た答え方をした人たちをグループに分ける統計の手法です。

その結果、先生たちは大きく2つのグループに分かれました。

 

ポイント

この研究は、幼児教育の現場におけるロボット活用への態度を、科学的な手法で分類した貴重な調査です。

 

わかったこと – 難しい内容をやさしく要約

 

教育ロボットで遊ぶ幼児の様子

 

研究で見つかった2つのグループには、それぞれ特徴がありました。

1つ目のグループは、教育ロボットに対して前向きな姿勢を共有する人たちです。

このグループのメンバーは、比較的似た考えを持っていました。

2つ目のグループは、否定的または懐疑的な考えを持つ人たちでした。

「本当に幼児にロボットが必要なのか」

という疑問を持つ声も多かったのです。

そして重要な発見がありました。

年齢が高く経験年数が長い先生ほど、ロボット活用に消極的だったのです。

逆に、教育ロボットに関する知識を持つ人ほど、前向きな姿勢を示していました。

つまり、知識の有無が態度を大きく左右していたということです。

これは、食わず嫌いに似た状態と言えるかもしれません。

知らないから不安になり、不安だから避けてしまうという構図です。

 

経験豊富な先生が消極的になる理由

 

長年の経験を持つ先生ほど、これまでのやり方に自信を持っています。

そのため、新しい技術を取り入れることに慎重になりがちです。

また、デジタル機器への苦手意識も関係していると考えられます。

 

知識が態度を変える鍵になる

 

研究では、ロボットの知識がある人ほど前向きという結果が出ました。

これは、学ぶ機会さえあれば態度は変えられることを示しています。

研修や体験の場が、先生の不安を取り除く鍵になるのです。

 

日常で活かせること – 実践的活用法・3つ以上の具体策

 

プログラミング学習に取り組む子どもたち

 

この研究の結果は、家庭や園での学びに活かすことができます。

ここでは、今日から取り入れられる具体策を紹介します。

 

  1. 身近な道具でプログラミング的思考に触れる
  2. 大人自身が一緒に学ぶ姿勢を持つ
  3. 失敗を楽しむ雰囲気をつくる
  4. 子どもの疑問を出発点にする

 

1つ目は、高価なロボットがなくても始められる工夫です。

たとえば、マス目を書いた紙の上で、人形を命令通りに動かす遊びがあります。

「右に2歩・前に3歩」

と順番に指示を出す体験が、論理的思考の土台になります。

2つ目は、大人の姿勢についてです。

研究では、知識がある人ほど前向きだとわかりました。

これは大人にも同じことが言えます。

まずは大人自身が新しい道具に触れてみることが大切です。

3つ目は、失敗を楽しむ環境づくりです。

プログラミングでは、思い通りに動かないことが日常的にあります。

「なぜ動かないのか考えるのが面白い」

という雰囲気を大切にしましょう。

4つ目は、子どもの好奇心を出発点にすることです。

子どもが興味を持ったことから、自然に学びへとつなげていけます。

 

現場で取り入れる小さな一歩

 

園や学校では、まず先生同士で情報を共有する場をつくることが有効です。

ロボットに詳しい先生が、そうでない先生に使い方を教える時間を設けましょう。

小さな成功体験の積み重ねが、全体の前向きな空気をつくります。

 

ポイント

大切なのは、完璧を目指さず小さな一歩から始めることです。

 

まとめ

 

幼児教育のSTEM学習の風景

 

この研究は、幼児教育における教育ロボット活用の現状を教えてくれます。

先生の態度を変える鍵は、知識と体験の機会にあるのです。

 

  • 先生は前向き派と懐疑派の2グループに分かれる
  • 年齢や経験より知識の有無が態度を左右する
  • 家庭や現場でも小さな工夫から始められる

 

ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。

 

【参考論文】

Attitudes towards the Use of Educational Robotics: Exploring Pre-Service and In-Service Early Childhood Teacher Profiles

著者: Stamatios Papadakis, Julie Vaiopoulou, Eirini Sifaki, Dimitrios Stamovlasis, Michail Kalogiannakis(2021年)

DOI: https://doi.org/10.3390/educsci11050204

 

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