SNSを使うと気分が良くなる子もいれば、逆に落ち込む子もいます。
同じアプリを同じ時間使っても、その影響は一人ひとりまったく違うのです。
2020年にIne Beyens氏らが発表した論文
「The effect of social media on well-being differs from adolescent to adolescent」
では、思春期の子ども1人ずつを細かく調べました。
その結果、SNSを見た後に46%が気分が良くなり、10%は悪くなり、44%は変化なしだったのです。
つまりSNSは
「みんなに悪」
でも
「みんなに良」
でもありません。
――そんな研究結果が明らかになりました。
目次
論文の概要 – どんな研究か・誰が対象か

この研究はオランダの思春期の子どもたちを対象に行われました。
研究チームは1週間にわたり、1日6回スマホで質問を送りました。
「今どんな気分か」
「SNSをどう使ったか」
を、その場で答えてもらう方法です。
集まった回答はなんと2,155件にのぼりました。
この手のひらサイズの調査方法には大きな意味があります。
これまでの研究は
「平均でどうか」
ばかりを見てきました。
しかし平均だけでは、一人ひとりの違いが見えなくなってしまうのです。
そこで研究者たちは、個人ごとの反応を丁寧に追いかけました。
特に注目したのが
「受け身のSNS利用」
です。
投稿せずに眺めるだけ、いわゆる流し見の使い方を指します。
ポイント
この研究の特徴は、集団の平均ではなく一人ずつの変化を追った点にあります。
わかったこと – 難しい内容をやさしく要約

結果は3つのグループにはっきり分かれました。
- 46%:SNSを見た後に気分が良くなった子
- 44%:気分に変化がなかった子
- 10%:気分が悪くなった子
これは非常に重要な発見です。
なぜならこれまで
「SNSは思春期に悪影響」
と語られてきたからです。
しかしこの研究では、多くの子にとってSNSは中立かプラスの存在でした。
一方で無視できないのが、10%の子が気分を落とした事実です。
10人に1人と考えると、決して少ない数字ではありません。
さらに興味深いのは、同じ子でも日によって反応が揺れる点です。
今日は楽しめたSNSも、明日は心を曇らせるかもしれません。
この個人差の背景には、さまざまな要因があると考えられます。
たとえば友人関係や自己評価、その日の体調などです。
研究者は
「一律のルールでは子どもを守れない」
と結論づけました。
大切なのは
「その子にとってどうか」
という視点です。
日常で活かせること – 実践的活用法・3つ以上の具体策

この研究から、日常で取り入れたい工夫が見えてきます。
家庭や学校、そして子ども自身にも役立つ視点です。
1. 「使用時間」より「使用後の気分」を見る
何分使ったかよりも、使った後の表情に注目しましょう。
笑顔になるのか、ため息をつくのかが大事な手がかりです。
気分が下がるサインを見逃さないことが鍵になります。
2. 子ども自身に振り返ってもらう
「SNSの後どんな気持ちになった?
」と問いかけてみてください。
自分の感情に気づく力を
「メタ認知」
と呼びます。
この力が育つと、子ども自身が使い方を調整できるようになります。
3. 「良い使い方」を一緒に見つける
禁止するより、気分が上向く使い方を探すほうが建設的です。
たとえば趣味の仲間と交流する時間は前向きな効果を生みます。
逆に他人との比較につながる使い方は避ける工夫が必要です。
4. 一律のルールで縛りすぎない
家庭や学校で共通のルールを設けることは大切です。
ただしその子の反応に合わせて柔軟に調整する姿勢も忘れないでください。
ポイント
SNSとの付き合い方は、時間管理ではなく感情管理の問題として捉えましょう。
まとめ

SNSが思春期に与える影響は、一人ひとり驚くほど違います。
だからこそ画一的な制限よりも個別の観察が大切なのです。
- SNSの影響は46%プラス・44%中立・10%マイナスと分かれる
- 時間より使用後の気分の変化に注目する
- 子ども自身が自分の反応に気づく力を育てる
ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。
【参考論文】
The effect of social media on well-being differs from adolescent to adolescent
著者: Ine Beyens, J. Loes Pouwels, Irene I. van Driel, Loes Keijsers, Patti M. Valkenburg(2020年)
DOI: https://doi.org/10.1038/s41598-020-67727-7