体を動かすと、気分がすっきりする経験はないでしょうか。
その心地よさは、一時的な気分だけの話ではありません。
運動する習慣がある学生ほど、日々の幸福感が高い傾向にあります。
しかも運動は、自信や感情の扱い方を通じて幸福感を底上げしていました。
――そんな研究結果が明らかになりました。
目次
運動する学生ほど幸福度が高い

中国の大学生826人を調べた研究
今回手がかりにするのは、研究者のKun Wangさんたちが2022年に発表した調査です。
中国南西部にある二つの総合大学の学生が対象でした。
合計826人にアンケートを行い、統計ソフトで丁寧に分析しています。
運動量や幸福感など、四つの要素の関係を細かく調べた研究です。
- 対象:中国南西部の大学生
- 人数:826人
- 調べた要素:運動・自信・感情の力・幸福感
運動は幸福感を直接押し上げていた
分析の結果、運動と幸福感には強いつながりが見られました。
体を動かす頻度が高い学生ほど、生活満足度も高い傾向です。
運動そのものが幸福感を直接高めていたことが分かります。
幸福感とは何を指すのか
ここでいう幸福感は、主観的幸福感と呼ばれるものです。
自分の生活にどれだけ満足しているか、という感覚を指します。
前向きな気持ちの多さや、否定的な感情の少なさも含みます。
数値で測ることで、心の状態を客観的に比べられるようになります。
ポイント
運動は気分転換にとどまらず、幸福感の土台づくりにつながります。
自信と感情の力が幸福への橋渡し

「やればできる」という自己効力感
この研究で注目されたのが、自己効力感という感覚です。
「自分ならやり遂げられる」
そう思える気持ちの強さを、自己効力感と呼びます。
運動を続けると、この感覚が育ちやすいと考えられます。
小さな達成の積み重ねが、自信につながるのでしょう。
感情を扱う力を意味する感情知能
もう一つの鍵が、感情知能と呼ばれる力です。
自分や相手の気持ちを理解し、うまく扱う能力を指します。
運動を通じて、この感情の扱い方も高まっていました。
運動から幸福へ続く心の連鎖
興味深いのは、これらが鎖のようにつながっていた点です。
運動が自信を育て、その自信が感情の力を高めます。
そして感情の力が、最終的に幸福感へと結びついていました。
運動は心の連鎖を通じて幸福感を支える
この連鎖の効果も、統計的に意味のある水準でした。
ポイント
運動の効果は、自信と感情の力という二つの道を通って幸福感に届きます。
生活に運動を取り入れる工夫

無理なく続けられる運動を選ぶ
大切なのは、激しい運動を無理に行うことではありません。
散歩やストレッチなど、続けやすいものから始めてみましょう。
楽しめる運動こそ長続きの鍵
家庭や学校でも、体を動かす時間を意識してみてはどうでしょうか。
自信と感情の変化にも目を向ける
運動の効果は、体力の向上だけではありません。
やり遂げた達成感や、気持ちの落ち着きにも注目したいところです。
小さな成功を言葉にして認め合うと、自信が育ちます。
感情を素直に表す機会をつくることも、心の力を伸ばします。
相関であって因果とは限らない
ここで一つ、正直に添えておきたい点があります。
この研究は、要素どうしの関係を調べた相関研究です。
運動が幸福感を必ず生む、と断言できるわけではありません。
とはいえ、両者に強いつながりがあるのは確かな事実です。
ポイント
まずは楽しめる運動を一つ、生活に加えてみましょう。
まとめ

運動は、心と体の両方に良い影響を与えていました。
運動は心と体を同時に育てる
その効果は、自信や感情の力を通じても広がっていきます。
- 運動は幸福感を直接高める
- 運動は自信と感情を扱う力も育てる
- その二つが幸福感をさらに支える
ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。
【参考論文】
The Relationship among College Students’ Physical Exercise, Self-Efficacy, Emotional Intelligence, and Subjective Well-Being
著者: Kun Wang, Yan Li, Tingran Zhang, Jiong Luo(2022年)
DOI: https://doi.org/10.3390/ijerph191811596