母語も使う英語学習で読解力は伸びる?社会人を調べた研究が示したこと

日本の企業の多くが、英語力の指標にTOEICを採用していると言われています。

そのため、短期間でスコアを上げる対策講座に通う人が後を絶ちません。

けれど点数が上がっても、読む力そのものは伸びにくいという指摘があります。

では、どうすれば英語を読む力そのものが育つのでしょうか。

 

 

 

母語も使う学びで英語の読解力は伸びる?

 

英語の本で学ぶ社会人の様子

 

手がかりにする社会人向けの研究

 

英語の読む力をどう育てるかは、長年の課題です。

今回手がかりにするのは、研究者のAlexis Goliさんが2023年に発表した調査です。

日本で働く社会人の英語学習者を対象にした研究でした。

母語も使う学び方が読解力を伸ばすかを、丁寧に調べています。

 

トランスランゲージングとは何か

 

研究の鍵となるのが、トランスランゲージングという考え方です。

これは学習者が持つ全ての言語を活用して学ぶ方法を指します。

英語だけに縛らず、母語の日本語も学びの道具にするのが特徴です。

世界中の言語教育の研究者から、いま注目を集めています。

 

二つのグループで比べた

 

研究では学習者を二つのグループに分けて比べました。

一方は英語だけで授業を受けるグループです。

もう一方は、日本語も使いながら学ぶグループでした。

事前テストと事後テストで、読解力の変化を測っています。

 

ポイント

トランスランゲージングとは、母語を含む全ての言語を活かして外国語を学ぶ方法です。

 

英語だけのクラスも伸びた?差は中程度

 

教室で英語を読む学習者たち

 

どちらのグループも読解力が向上

 

結果は、とても興味深いものでした。

英語だけのグループも、日本語を使うグループも読解力が伸びました。

つまり、どちらの学び方にも効果があったと分かります。

ただ、伸び方には差が見られた点が大切です。

 

差は中程度だったという結果

 

日本語も使ったグループのほうが、伸びは大きくなりました。

その差は中程度だったと報告されています。

大きな差ではないものの、確かな違いが見られた点に注目したいところです。

母語を使うことが理解を後押ししたのかもしれません。

 

  • 対象:日本で働く社会人の英語学習者
  • 方法:準実験(対照群と実験群で比較)
  • 比較:英語のみ vs 日本語も併用

 

少人数ゆえの注意点

 

この研究には、大切な注意点があります。

参加した人数が、ごく少人数にとどまりました。

そのため、結果をそのまま一般化はできないと著者は述べています。

より多くの人数と長い期間での検証が望まれます。

 

ポイント

両グループとも読解力が向上し、母語も使ったグループの伸びが中程度大きいという結果でした。

 

家庭や現場で母語を活かす英語学習の工夫

 

メモを取りながら英文を読む人

 

分からない言葉は母語で考えてみる

 

研究の知見は、日々の学びにも応用できます。

英語の文章で、分からない箇所が出てきたとします。

その意味を、まず母語の日本語で考えてみましょう。

母語で理解を固めてから英語に戻ると読みやすくなります。

 

母語で要約してから英語に戻る

 

長い英文を読むときにも、工夫ができます。

段落ごとの要点を、日本語で短くまとめてみてはどうでしょうか。

内容をつかんでから読み直すと、理解が深まります。

家庭や学校でも、気軽に取り入れられる方法です。

 

母語の活用は学びを支える土台

 

母語を使うことは、決して手抜きではありません。

持っている言語の力を、すべて学びに生かす姿勢が大切です。

ただし今回は少人数の実験であり、過信は禁物だと言えるでしょう。

自分に合うやり方を、試しながら見つけていきたいところです。

 

ポイント

分からない箇所を母語で考え、要点を日本語でまとめてから英語に戻ると理解が進みます。

 

まとめ

 

学びの机に広げられた本と言語学習

 

母語も活かす学びは、英語の読解力を伸ばす助けになりそうです。

今回の研究では、その伸びが中程度大きいと示されました。

 

  • 母語も使う学びで読解力が伸びる可能性がある
  • 英語だけのクラスより伸びは中程度大きかった
  • 少人数の研究のため、過信せず試す姿勢が大切

 

ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。

 

【参考論文】

Translanguaging Instruction and Reading Comprehension Skills of Japanese EFL Learners: A Quasi-Experimental Study

著者: Alexis Goli(2023年)

DOI: https://doi.org/10.17323/jle.2023.14069

 

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