読み書きに苦労する生徒は、中学・高校になっても少なくありません。
ある国際調査では、15歳の約5人に1人が読解に困難を抱えるとされています。
この数字は、年齢が上がれば自然に解決するわけではない現実を示しています。
では、生徒を支える教師自身は、十分な準備ができていると感じているのでしょうか。
この問いに向き合ったのが、2020年にMargaret K. Merga氏らが発表した論文です。
タイトルを訳すと、おおよそ次の通りになります。
「中等教育の英語授業で、読み書きに苦しむ学習者を支える準備に関する教師の認識」
オーストラリアの教師を対象に、その本音を探った研究です。
読み書きの支援は学びの土台です。
目次
論文の概要

- 対象:オーストラリアの中等英語教師
- 調査年:2019年
- 方法:混合研究法(数値と自由記述)
研究の対象と目的
この研究が注目したのは、オーストラリアの中等教育で英語を教える教師です。
読み書きに苦労する生徒を支える準備が十分か、という点を調べています。
ここで言う準備とは、大学などで受ける養成教育を指します。
就職後に受ける研修も、あわせて検討の対象になりました。
どのように調べたか
2019年に行われた大規模な調査プロジェクトのデータが使われています。
アンケートによる数値と、自由記述による声を組み合わせた方法でした。
このやり方は、混合研究法と呼ばれます。
数字だけでは見えない実感を、言葉から拾う狙いがあります。
結果の概要
多くの教師が、養成教育での準備は不十分だったと感じていました。
興味深いのは、卒業して間もない教師も同じように答えた点です。
ベテラン教師との間に、大きな差は見られませんでした。
準備不足の実感は世代を越えて共通していました。
ポイント
準備不足を感じていたのは、一部の教師に限った話ではありませんでした。
世代を問わず広がっていた点に、この研究の重みがあります。
分かったこと

最も重要な発見
最大の発見は、準備不足の感覚が広く共有されていたことです。
大多数の教師が、養成教育は十分でなかったと振り返っています。
読み書きの指導法を、もっと学びたかったという声が目立ちました。
もう一つの注目ポイント
もう一つ注目したいのは、卒業年次による差の小ささです。
最近の卒業生でも、準備が整っていたとは感じていませんでした。
養成課程の改善が、まだ追いついていない可能性が考えられます。
これは制度全体への問いかけと言えるでしょう。
意外な結果や副次的な気づき
自由記述からは、現場の切実な思いが見えてきました。
支援の知識が足りず、手探りで対応している教師もいました。
就職後の研修にも、改善の余地があると指摘されています。
学び続ける機会の充実が求められています。
- 多くの教師が養成教育を不十分と感じた
- 卒業年次による差は小さかった
- 就職後の研修にも改善の余地がある
ポイント
読み書きの支援には、専門的な知識と工夫が欠かせません。
その学びの場をどう増やすかが、これからの課題と言えそうです。
日常で活かせること

つまずきのサインに早く気づく
読み書きの苦手は、年齢が上がるほど見えにくくなります。
音読を避ける、書く量が極端に少ないなどが手がかりです。
早めに気づくほど、支える方法も見つけやすくなります。
家庭や学校では、小さな変化に目を向けてみましょう。
学びを支え合う仕組みをつくる
支援は一人で抱え込むものではありません。
家庭と学校で情報を共有してみてはどうでしょうか。
得意な人の工夫を持ち寄ると、対応の幅が広がります。
大人も学び続ける姿勢を持つ
今回の研究は、大人の学び直しの大切さを示しています。
読み書き支援の本や研修に触れる機会をつくりたいところです。
子どもに学びを促す側こそ、学び続ける姿勢が役立ちます。
支える大人の学びが子どもの学びを支えます。
まとめ

読み書きの支援は、中学・高校でも欠かせない課題です。
今回の研究は、教師自身が準備不足を感じている現実を映し出しました。
- 準備不足の実感は世代を越えて共通していた
- 養成教育と研修の両方に改善の余地がある
- 支える大人の学び直しが大きな鍵になる
ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。
【参考論文】
Teachers’ perceptions of their preparedness for supporting struggling literacy learners in secondary English classrooms
著者: Margaret K. Merga, Saiyidi Mat Roni, Shannon Mason(2020年)
DOI: https://doi.org/10.1080/04250494.2020.1775488