SNSで誰かの写真を見て、自分と比べる。
その回数が多いほど、自分の体への不満が強まります。
さらに
「やせたい」
という衝動も高まることがわかりました。
2021年にBarbara Jiotsa氏らが発表した論文で示された結果です。
論文タイトルは
「Social Media Use and Body Image Disorders」
です。
15歳から35歳までの1331人を対象にした大規模な調査でした。
――そんな研究結果が明らかになりました。
目次
論文の概要:SNSと「見た目の悩み」の関係を調べた研究

この研究は、SNSの使い方と体の悩みの関係を調べたものです。
フランスの研究チームが2021年に発表しました。
対象は15歳から35歳までの1331人です。
そのうち1138人は一般の人々から集められました。
残りの193人は摂食障害の患者さんでした。
幅広い層を含む調査であることが特徴です。
参加者はオンラインでアンケートに回答しました。
調査項目は大きく3つに分かれます。
- SNSでフォローしているアカウントの種類
- 自撮り写真の投稿頻度
- SNS上の他人と自分の外見を比べる頻度
さらに、摂食障害の専門的な指標も使われました。
「ボディ・ディスサティスファクション」
とは自分の体への不満度のことです。
「ドライブ・フォー・シンネス」
とはやせたいという強い衝動を指します。
これらは国際的に使われる心理尺度で測定されています。
ポイント
一般の人と摂食障害の患者の両方を含む調査です。
SNSの使い方と心の健康の関係を幅広く分析しています。
わかったこと:比べる回数が多いほど「体への不満」が増す

研究の結果、はっきりとした傾向が見えました。
SNSで他人と外見を比べる頻度が高いほど体への不満が強くなります。
同時に
「やせたい」
という衝動も高まっていました。
これは一般の人でも摂食障害の患者でも共通の傾向です。
「見る回数」よりも「比べる回数」がカギ
注目すべきは、単にSNSを見る時間ではない点です。
「自分と他人の外見を比べる頻度」
が重要な要因でした。
つまり、同じ時間SNSを使っても影響は異なります。
比較する意識が強いほど心への負担が大きくなるのです。
学歴が意外な影響要因に
興味深い発見もありました。
教育レベルがこの関係に影響を与える要因だったのです。
一方で、体格指数(BMI)は直接の影響要因ではありませんでした。
つまり、体型に関係なく比較行動が心に影響を与えます。
やせている人も、そうでない人も同じリスクがあるのです。
ポイント
SNSを使う時間の長さだけが問題ではありません。
他人の写真と自分を「比べる」という行為そのものが心に影響します。
日常で活かせること:外見比較から心を守る3つの工夫

この研究の知見は、日常の中ですぐに活かせます。
大切なのは
「比べない仕組み」
を意識的につくることです。
学校でも家庭でも、自分自身でも取り組める方法を紹介します。
工夫①:フォローするアカウントを見直す
SNSで何を見るかは、自分で選べます。
外見を強調するアカウントばかり見ていませんか?
趣味や学びに関するアカウントを増やしてみましょう。
「見る内容」
を変えるだけで比較の機会が減ります。
定期的にフォロー先を整理する習慣も効果的です。
工夫②:「比べている自分」に気づく練習をする
無意識に比較していることは多いものです。
「あ、今比べていたな」
と気づくだけで心の負担は軽くなります。
これはメタ認知と呼ばれるスキルです。
自分の思考を客観的に観察する力のことを指します。
学校の授業や日記を通じて練習できます。
工夫③:SNSの使い方を「話題」にする
SNSとの付き合い方を周囲と話す機会をつくりましょう。
授業やホームルームで取り上げるのも有効です。
家庭の会話の中で自然に触れるのもよい方法です。
「SNSを見て気分が下がったことはある?」
という問いかけが入り口になります。
正解を教えるのではなく、一緒に考える姿勢が大切です。
工夫④:「体の多様性」を知る機会を増やす
SNS上の写真は加工されていることが多いです。
現実の体型は、もっと多様で自然なものです。
さまざまな体型の人が活躍している事例に触れましょう。
「きれい」
や
「かっこいい」
の基準は一つではありません。
多様な価値観に触れることが、比較の呪縛を解くカギになります。
ポイント
SNSを「禁止する」のではなく「付き合い方」を学ぶことが重要です。
比べる行動を減らす仕組みづくりを、教育や日常に取り入れましょう。
まとめ

SNSで他人と自分の外見を比べる頻度が高いほど、体への不満ややせたい衝動が強まることがわかりました。
これは体型に関係なく誰にでも起こりうる現象です。
- SNSでの外見比較の頻度が体への不満と直結している
- 体型(BMI)ではなく「比べる行為」自体がリスク要因
- フォロー先の見直しやメタ認知の練習が有効な対策になる
- SNSとの付き合い方を教育や対話のテーマにすることが大切
ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。
【参考論文】
Social Media Use and Body Image Disorders: Association between Frequency of Comparing One’s Own Physical Appearance to That of People Being Followed on Social Media and Body Dissatisfaction and Drive for Thinness
著者: Barbara Jiotsa, Benjamin Naccache, Mélanie Duval, Bruno Rocher, Marie Grall‐Bronnec(2021年)
DOI: https://doi.org/10.3390/ijerph18062880