幼児期の環境教育で水を大切にする習慣は身につくのか

子どもが蛇口を開けっぱなしにしている姿を見て、どう声をかけようか迷ったことはありませんか。

歯みがきや手洗いのたびに出しっぱなしになる水を、もったいないと感じる場面は多いものです。

そもそも幼児期の子どもに、水を大切にする気持ちは本当に育つのでしょうか。

また、どんな働きかけをすれば、行動として定着するのか気になるところです。

この疑問に答える研究が、2022年にShimpei Iwasaki氏によって発表されました。

タイトルはEffects of Environmental Education on Young Children’s Water-Saving Behaviors in Japanです。

福岡県の幼稚園を舞台に、環境教育プログラムが子どもたちの節水行動にどう影響するかを調べた内容です。

環境教育は幼児の行動を確かに変える力を持っています

この記事では、研究の要点と日常での活かし方をやさしく解説していきます。

 

 

 

論文の概要 – どんな研究か・誰が対象か

 

幼稚園で学ぶ子どもたちの様子

 

この研究は、福岡県の幼稚園で行われました。

対象は3歳から6歳までの幼児たちです。

研究者は、幼児向けの環境体験教育プログラムの効果を検証しました。

このプログラムは、幼児エコ体験教育プログラムと呼ばれています。

英語ではEEEPECと略される取り組みです。

 

プログラムの中身

 

プログラムには、地球温暖化についての講義が含まれます。

また、水やエネルギーの節約についても扱われます。

さらに、子どもたちの目に入る場所に視覚的な合図が置かれました。

たとえば、蛇口のそばに小さな水のコイル型オブジェが設置されたのです。

これが子どもに気づきを与える仕組みになっています。

 

調査の方法

 

研究者は複数の方法で効果を確かめました。

子どもたちの行動観察が実施されました。

保育者や保護者へのインタビューも行われています。

加えて、アンケート調査のデータも集められました。

行動・言葉・数値の三つから効果を立体的に捉えた研究といえます。

 

わかったこと – 難しい内容をやさしく要約

 

蛇口で手を洗う小さな子ども

 

結論から言うと、プログラムには明らかな効果がありました。

参加した子どもたちは、水を節約する行動を増やしたのです。

講義で話を聞くだけでは、行動はなかなか変わりません。

行動変化のカギは、視覚的な合図にあったと示されています。

 

視覚的な合図の力

 

蛇口のそばに置かれた水のコイルは、子どもに即座のフィードバックを与えます。

つまり、水を出した瞬間に

「あ、気をつけなきゃ」

と思い出せる仕組みです。

言葉よりも目に見える手がかりのほうが幼児には届きやすいという結果です。

これは幼児教育における大きな発見といえます。

 

会話が生まれる効果

 

視覚的な合図には、もう一つの働きがありました。

保育者と子ども、親と子どもの間で環境についての会話が増えたのです。

子どもが

「これなあに」

と聞くことで、自然と対話が始まります。

合図が大人と子どものコミュニケーションの入口になったのです。

 

ポイント

幼児の行動を変えるのは、長い説明ではなく身近に置かれた小さな目印です。

さらにその目印が大人との対話を生み出し、学びを深めていきます。

 

日常で活かせること – 実践的活用法

 

蛇口から落ちる一滴の水

 

では、この研究をどう生活に取り入れればよいのでしょうか。

家庭や園、学校で今日から試せる工夫を紹介します。

 

1. 水回りに目に見える合図を置く

 

まずは、蛇口のそばに小さな目印を置いてみましょう。

手作りのイラストやシールで十分です。

水滴のマークや可愛い生き物の絵でもよいでしょう。

大切なのは子どもの目線の高さに配置することです。

子どもが自分で気づけることが、行動変化の第一歩になります。

 

2. 合図をきっかけに会話する

 

目印を置いたら、そこから話を広げることが大切です。

これはどういう意味か子どもに尋ねてみましょう。

子どもが自分の言葉で説明する経験が、学びを深めます。

大人が答えを教えるより、一緒に考える姿勢が効果的です。

 

3. 即座のフィードバックを大事にする

 

子どもが節水できたら、その場ですぐ声をかけましょう。

後でまとめて褒めるより、行動の直後が効果的です。

幼児には

「今」

の体験が何よりも大きな意味を持ちます

小さな成功体験を積み重ねることで、習慣が定着していきます。

 

4. 家庭と園で同じ合図を使う

 

家庭と園で同じような目印を取り入れると、学びがつながります。

子どもは場所が変わっても同じ行動を取りやすくなるのです。

大人同士で情報を共有することも、習慣づくりを助けます。

 

まとめ

 

台所で親子が会話する様子

 

幼児期の環境教育は、子どもの行動を確かに変える力を持っています。

小さな目印と温かい対話が習慣を育てる鍵になります。

 

  • 蛇口のそばに目に見える合図を置く
  • 合図を入口に大人と子どもで会話する
  • 行動の直後にその場で声をかける

 

ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。

 

【参考論文】

Effects of Environmental Education on Young Children’s Water-Saving Behaviors in Japan

著者: Shimpei Iwasaki(2022年)

DOI: https://doi.org/10.3390/su14063382

 

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