ブレンド型博士課程の学びとコロナ禍の経験から見える教育の本質

近年、オンラインと対面を組み合わせたブレンド型学習が世界中の教育現場で広がっています。

とくに2020年以降、コロナ禍によって学びのかたちは大きく変わりました。

こうした変化のなかで、学習者は何を感じ、どんな支えを必要としていたのでしょうか。

2020年にBradley D. F. Colpitts氏ら3名の研究者が発表した論文

「Doctoral student reflections of blended learning before and during covid-19」

は、博士課程の学生自身の声を丁寧にすくい上げた興味深い研究です。

大人の学びにかぎらず、子どもの学習や家庭での学びにも通じる発見がいくつもあります。

今回はこの論文をもとに、学びを支える要素について一緒に考えてみましょう。

 

 

 

論文の概要

 

オンラインで学ぶ大学院生のイメージ

 

研究の対象と目的

 

この研究は、カナダの大学院でブレンド型の博士課程に在籍していた学生たちが対象でした。

オンライン授業と短期集中の対面授業を組み合わせた学びを続けるなかで、コロナ禍がやってきたという背景があります。

研究の中心的な問いは

「コロナ危機によって私たちの学びはどう変わったのか」

というものでした。

学生自身が研究者となり、自分たちの経験を内側から振り返った点が特徴的です。

 

どのように調べたか

 

研究にはアクションリサーチという手法が使われました。

これは現場の当事者が自ら課題に取り組みながら研究する方法です。

また、自分の経験を物語のように語ってもらう

「ナラティブ・インクワイアリー」

も取り入れられています。

 

  • 対象:ブレンド型博士課程の大学院生
  • 方法:アクションリサーチ+語りによる振り返り
  • 期間:コロナ禍前後の2段階で収集

 

結果の概要

 

分析の結果、4つの大きなテーマが浮かび上がりました。

仕事や家庭との両立、仲間からの支え、一人ひとり違う体験、そして指導者グループの存在です。

 

ポイント

当事者である学生の語りから、学びを支える要素が4つ明らかになった研究です。

 

分かったこと

 

仲間と学び合う学生たちの様子

 

最も重要な発見:仲間の存在が学びを支える

 

研究で最も大きな発見は仲間(コホート)からの支えの重要性でした。

同じ目標に向かう仲間の存在が、正式な学びの場でも雑談のような場でも支えになっていたと報告されています。

とくにコロナ禍では、対面で会えない不安を仲間との連絡が和らげたそうです。

学びは一人で完結するものではないと、改めて示されました。

 

もう一つの注目ポイント:両立の難しさ

 

学生たちは仕事や家族との時間、そして博士課程の研究をどう両立させるかに苦労していました。

コロナ禍では在宅勤務や家庭の事情が重なり、その難しさはさらに大きくなったと言えるでしょう。

 

  • 仕事と学業の時間配分の難しさ
  • 家庭での役割と研究時間の競合
  • 危機的状況での精神的な負担

 

意外な気づき:体験の個別性

 

もう一つ興味深いのは、同じプログラムにいても体験は人によって大きく違うという点でした。

家族構成、仕事の状況、住んでいる地域などで感じ方が異なります。

同じ

「ブレンド型学習」

と言っても、一律の支援では足りないという見方もできます。

 

ポイント

学びには仲間と指導者の支えが欠かせず、同時に一人ひとりの状況に合わせた配慮も必要だと分かりました。

 

日常で活かせること

 

家庭で一緒に本を読み学び合う様子

 

学び合う仲間をつくってみましょう

 

この研究から学べる第一のヒントは学びを共有できる仲間をつくることです。

学校のクラスメイトや読書会、オンラインの学習コミュニティなど、形はさまざまでよいでしょう。

家庭でも、子どもと一緒に同じ本を読んで感想を話し合うだけで小さな学び合いが生まれます。

正式な場でなくても、雑談から得られる気づきは大きいものです。

 

両立の工夫を見える化してみてはどうでしょうか

 

仕事や家事と学びの両立は、大人にも子どもにも共通の課題です。

1日のスケジュールを書き出して、学びの時間を意識的に確保してみましょう。

無理のない計画を立てることで、続けやすくなります。

家庭や学校でも、学習と生活のバランスを話し合う機会をつくりたいところです。

 

一人ひとりに合った支え方を意識する

 

同じ環境でも感じ方は違うという発見は、教育の現場で大切な視点です。

クラス全体への一律な指導だけでなく、個々の状況を聞き取る時間が役立ちます。

 

  • 定期的に声をかけて様子を聞く
  • 困りごとを安心して話せる場をつくる
  • 状況に応じて柔軟に対応する

 

こうした小さな配慮の積み重ねが、学ぶ人を支える土台になるのではないでしょうか。

 

まとめ

 

学びを支える要素を象徴する書籍と帽子

 

今回の研究は、ブレンド型学習における仲間と指導者の支えの大切さを示してくれました。

同時に、危機的な状況では一人ひとりの体験が大きく異なることも明らかになっています。

 

  • 学びには仲間との支え合いが欠かせない
  • 仕事や生活との両立には工夫が必要
  • 一人ひとりに合った配慮が学びを深める

 

ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。

 

【参考論文】

Doctoral student reflections of blended learning before and during covid-19

著者: Bradley D. F. Colpitts, Brandy Usick, Sarah Elaine Eaton(2020年)

DOI: https://doi.org/10.5281/zenodo.4247601

 

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