10代の睡眠時間、国でこんなに違う!欧米24カ国16万人調査でわかった実態

思春期の睡眠時間に、国によって最大1時間以上もの差があるという。

学校がある日の平均は、最短7時間47分から最長9時間7分までと国ごとに大きな開きがあることが分かりました。

推奨される睡眠時間を満たしている10代の割合も、国によって32〜86%と幅が大きいといいます。

2020年に発表された論文の知見です。

「How Are Adolescents Sleeping?」

調査をまとめたのは、欧米24カ国・16万5793人の10代を比較したGeneviève Gariépy氏らの研究チーム。

――そんな研究結果が明らかになりました。

 

 

 

論文の概要 – どんな研究か・誰が対象か

 

世界地図を背景にした国際比較研究のイメージ

 

研究の対象と目的

 

研究の目的は、10代の睡眠の実態を国際的に比較すること。

これまで各国ごとの調査は存在したものの、共通の指標で比べた研究はほとんど見当たらなかったといいます。

調査の規模と対象は次の通りです。

 

  • 対象国:欧米24カ国
  • 参加者:16万5793人の10代
  • 平均年齢:13.5歳(女子50.5%)

 

共通の物差しで世界の傾向を比べられる点こそが、本研究の意義といえます。

 

どのように調べたか

 

調査の母体となったのは、国際的な学齢期児童健康調査「HBSC」。

分析対象は、2013〜14年と2017〜18年の2回分のデータ。

10代本人が、学校がある日とない日の就寝時刻と起床時刻を回答する形式が採用されました。

そこから睡眠時間や就寝時刻、平日と休日の差を算出する仕組みです。

性別・年齢・家庭の経済状況による違いも、論文の中で丁寧に検証されています。

 

結果の概要

 

学校がある日の睡眠時間は、最短7時間47分から最長9時間7分まで国ごとに大きく異なるという。

休みの日は9時間31分から10時間22分の範囲。

推奨睡眠を満たす10代の割合も、平日は32〜86%と国差が大きいと報告されています。

一方、休日は79〜92%とどの国でも高水準。平日との落差の大きさが目立ちます。

 

ポイント

欧米24カ国16万人を共通の質問で比べた大規模な睡眠の国際比較研究です。

 

わかったこと – 難しい内容をやさしく要約

 

ベッドで眠る思春期の若者の様子

 

国による睡眠時間のばらつき

 

研究で最も鮮明になったのが、学校がある日の睡眠時間における国差の大きさです。

同じヨーロッパ域内でも、北欧と南欧では就寝時刻に大きなずれがあるという。

遅寝の国ほど、平日の睡眠が短くなる傾向も読み取れる結果でした。

同年代で約1時間20分という差は、決して小さな違いとは言えないでしょう。

 

年齢が上がると睡眠が削られる

 

もう一つ注目すべきは、年齢による睡眠時間の大きな変化です。

すべての国で年長の10代ほど就寝時刻が遅くなると確認されています。

年齢が上がるにつれて、睡眠時間そのものも短くなる傾向にあるといいます。

成長期で休息を必要とする時期に、睡眠が削られていく構図が浮かび上がる結果です。

 

性別や経済状況の影響は意外に小さい

 

一方、性別や家庭の経済状況の影響については、意外な事実も明らかになりました。

性別や家庭の経済力が、睡眠時間に及ぼす影響はごくわずか。

多くの国で男女差はわずかにとどまり、貧富の差による影響も限定的だといいます。

10代の睡眠不足は、どの家庭でも起こり得る共通の課題といえそうです。

 

ポイント

国差・年齢差は大きく、性別や経済状況の差は小さい——それが今回の発見です。

 

  • 国による睡眠時間の差は最大1時間20分
  • 年齢が上がるほど寝る時刻が遅くなる
  • 性別や経済格差の影響は意外と小さい

 

日常で活かせること – 実践的活用法

 

暖色照明が灯る夜の落ち着いた寝室

 

就寝時刻を見直す具体策

 

この研究は、遅寝が学校がある日の睡眠不足の主な原因だと示唆しています。

家庭や学校で就寝時刻の目安を一緒に考えることが第一歩でしょう。

寝る30分前にスマホを手放す習慣は、眠気を妨げない工夫として有効でしょう。

ベッドに入る時刻を毎日10分ずつ早める方法なら、無理なく取り入れられます。

 

学校がある日の生活リズムを整える

 

平日と休日の睡眠差を縮める工夫が現場でも大切と言えるでしょう。

休みの日に長く寝だめを続けると、体内時計をずらす要因にもなります。

休日と平日の睡眠差は1〜2時間以内に抑えるのがリズム安定の目安です。

朝の光を浴びるだけでも体内時計が整い目覚めもよくなるでしょう。

 

年齢に合った眠りの環境づくり

 

年齢が上がるほど睡眠が削られる傾向は、環境づくりで和らげることが可能です。

夜の照明を暖色に切り替えるだけでも、自然な眠気を引き出すきっかけになるでしょう。

部屋を少し涼しく保ち寝具を季節に合わせる工夫も眠りを支えるでしょう。

毎朝の朝食をきちんと取る生活こそが、夜の眠気を整える土台です。

 

まとめ

 

朝の光が差し込む寝室と目覚まし時計

 

10代の睡眠は、国・年齢・生活リズムに大きく左右されるという、興味深い構図が見えてきました。

欧米24カ国を横断した今回の研究は、教育に関わる人にとって貴重な手がかりとなりそうです。

 

  • 国による睡眠時間の差は1時間20分にも及ぶ
  • 年齢が上がるほど寝る時刻が遅くなり睡眠時間が削られる
  • 性別や家庭の経済状況の影響は意外に小さい

 

ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。

 

【参考論文】

How Are Adolescents Sleeping? Adolescent Sleep Patterns and Sociodemographic Differences in 24 European and North American Countries

著者:Geneviève Gariépy, Sofia M. Danna, Inese Gobiņa, Mette Rasmussen, Margarida Gaspar de Matos ほか(2020年)

DOI:https://doi.org/10.1016/j.jadohealth.2020.03.013

 

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