SNSの使いすぎより依存が危険、3年間の追跡研究が示した10代の心

子どもや若者がスマホを手放せない様子に、不安を感じたことはありませんか。

SNSは10代の日常に深く入り込み、心への影響が世界中で議論されています。

長く使うほど心が傷つくのか、それとも別の使い方の問題なのでしょうか。

2020年にMaartje Boer氏らが発表した論文

「Social media use intensity, social media use problems, and mental health among adolescents」

が、この疑問に正面から答えています。

オランダの中学生2,109人を3年間追跡した大規模研究の成果です。

結論を先に言えば、利用時間より依存的な使い方が心の健康を脅かしました

本記事では、研究の発見と教育や家庭で活かせる視点を一緒に見ていきましょう。

 

 

 

論文の概要 – どんな研究か・誰が対象か

 

教室で学ぶ中学生たちの様子を映した研究風景

 

研究の背景と目的

 

SNSが10代の生活に深く入り込んだ今、心への影響は世界的な関心事となっています。

研究チームは、SNSの使い方が思春期のメンタルヘルスとどう関わるかを丁寧に調べました。

注目したのは利用時間の長さと、依存に近い問題的な使い方の二つです。

さらに両者の影響がどんな経路で心に届くのかも検証しました。

 

どのように調べたか

 

オランダの中学生2,109人を対象に、1年ごとに3回の調査を行いました。

平均年齢は13.1歳で、3年間の変化を追跡する縦断研究です。

抑うつ症状や生活満足度を測り、心の状態を数値化しています。

同時に上方比較・ネットいじめ・学業成績・友達との対面接触も評価しました。

 

  • 対象:オランダの中学生2,109人
  • 平均年齢:13.1歳(標準偏差0.8)
  • 方法:3年間にわたる追跡調査

 

注目したポイント

 

研究では使う時間と依存的な使い方を明確に分けて分析しました。

この二つはまったく別の現象として扱われています。

また心への影響が一方向か双方向かを検証した点が本研究の大きな特徴です。

SNSが心を悪くするのか、心の不調がSNS依存を招くのかという問いに迫りました。

 

ポイント

SNSを長く使うことと依存的に使うことを別物として捉える視点が、この研究の出発点です。

 

わかったこと – 難しい内容をやさしく要約

 

スマートフォンを見つめる思春期の若者の様子

 

最も重要な発見

 

最大の発見は、依存的なSNS利用が1年後の心の不調を予測したことです。

逆に、心が不調だから依存が進むという関係は確認されませんでした。

影響は一方通行であり、SNSの問題的使用が先に立つと示されています。

 

利用時間の長さの影響

 

意外にも、SNSを長く使うこと自体は心の状態と関連しませんでした。

利用時間の多さが、抑うつや生活満足度に直接結びつくわけではありません。

使う長さよりも使い方の中身が鍵を握ると示されました。

 

仲介する要因の分析

 

依存的な使い方は、上方比較やネットいじめ被害を1年後に増やしました。

ただし、それらの要因が心の不調を媒介していたわけではありません。

つまり、SNS依存が直接的に心を蝕む別の経路があると考えられます。

 

  • SNS問題的使用は1年後の抑うつ増加と生活満足度の低下を予測
  • SNS利用時間の長さ自体は心の健康と無関係
  • 上方比較やネットいじめは増えるものの心への媒介効果は確認されず

 

ポイント

恐れるべきはスマホを触る時間ではなく、やめたくてもやめられない依存的な使い方そのものです。

 

日常で活かせること – 実践的活用法

 

家庭でスマホ利用について話し合う家族の姿

 

利用時間より使い方の質に注目

 

家庭や学校では、ただ時間を制限するだけでは十分ではないかもしれません。

大切なのは、子どもがSNSをどう使っているかという中身です。

例えば、楽しむための利用とやめたくてもやめられない状態は分けて考えましょう。

後者のサインが見えたら、早めの声かけが求められます。

 

依存的サインを見逃さない

 

SNSが原因で食事や睡眠が削られていないかを確認しましょう。

使えないとイライラしたり、嘘をついて使い続ける様子も要注意です。

こうした行動は依存的使用の典型的な兆候とされています。

 

対話と環境づくり

 

頭ごなしに禁止するより、SNSでの体験を一緒に話し合う関係が支えになります。

嫌な思いをした投稿や、比較してしまう相手について聞いてみるとよいでしょう。

家庭や学校でスマホを置く時間帯を共有するのも効果的です。

大人自身がスマホを置く姿を見せることも、何よりのお手本となります。

 

  1. スマホを置く時間帯を家族や教室で共有する
  2. 依存的サインを定期的にチェックする
  3. SNSでの体験を語り合う場をつくる

 

まとめ

 

明るい表情で前を向く10代の若者の姿

 

本研究はSNSの量より質に目を向ける重要性を示しました。

利用時間の長さに過度に怯えるのではなく、依存的兆候を見逃さない姿勢が求められます。

 

  • 依存的SNS使用は1年後の心の不調を招く
  • 利用時間の長さ自体は心の健康に直結しない
  • 使い方の質を見守り対話する姿勢が大切

 

ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。

 

【参考論文】

Social media use intensity, social media use problems, and mental health among adolescents: Investigating directionality and mediating processes

著者: Maartje Boer, Gonneke W. J. M. Stevens, Catrin Finkenauer, Margaretha de Looze, Regina J. J. M. van den Eijnden(2020年)

DOI: https://doi.org/10.1016/j.chb.2020.106645

 

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