少し怖いけれどワクワクする遊びに、夢中になる子どもの姿を見たことはありませんか。
高い所に登る、速く走る、ちょっと危ないことに挑戦するような遊びです。
こうした遊びは、つい止めたくなるものかもしれません。
しかし近年の研究では、こうした遊びが子どもの成長に良い影響を与えると分かってきました。
ノルウェーのOle Johan Sando氏らの研究チームが2021年に発表した論文
「Risky Play and Children’s Well-Being, Involvement and Physical Activity」
では、興味深い結果が示されています。
リスクのある遊びが、子どもの幸福感や集中力、運動量と深く関係していたのです。
少しのスリルが、子どもを大きく育てる力になるという視点は、教育や子育てに関わる多くの人にとって新しいヒントとなります。
この記事では、論文の内容をやさしく解説し、日常で活かせる方法を紹介します。
目次
論文の概要 – どんな研究か・誰が対象か

この研究は、ノルウェーの8つの幼児教育施設で行われました。
対象となったのは、自由遊びの時間を過ごす子どもたちです。
研究者たちはビデオ観察という方法を用いました。
合計928回の観察データを集め、丁寧に分析しています。
観察で注目したのは、子どもがどのような遊びをしているかです。
特に
「リスクのある遊び」
に焦点を当てました。
リスクのある遊びとは、高所に登る、速く動く、ぶつかり合うなど、少しの危険を伴う遊びを指します。
同時に、子どもの幸福感や集中度、体の動きの活発さも記録しました。
遊びと子どもの状態との関係を客観的に調べた大規模な観察研究です。
ポイント
ノルウェーの幼児教育現場で、自由遊びの様子を928回も観察した研究です。
リスクのある遊びとは何か
リスクのある遊びには、いくつかの種類があります。
たとえば、高い所に登ったり飛び降りたりする遊びです。
また、ブランコを大きく漕いだり、スピードを出して走ったりすることも含まれます。
取っ組み合いのような、体をぶつけ合う遊びもリスクのある遊びです。
これらは子ども自身が自発的に選ぶ遊びという共通点があります。
何を測定したのか
研究では、子どもの3つの側面を測定しました。
1つ目は幸福感、つまり楽しそうにしているかどうかです。
2つ目は集中度、遊びにどれだけ没頭しているかです。
3つ目は身体活動量、体をどれだけ動かしているかです。
わかったこと – 難しい内容をやさしく要約

研究から得られた結果は、とても明確でした。
リスクのある遊びをしている子どもは、そうでない子どもと比べて良い状態でした。
具体的には、幸福感が高まっていたのです。
また、遊びへの集中度も大きく上がっていました。
さらに、体をよく動かしており運動量も豊富でした。
リスクのある遊びは子どもの心と体に同時に良い影響を与えることが分かったのです。
これは3つの側面すべてで確認された結果です。
なぜリスクのある遊びが良いのか
スリルのある遊びは、子どもにとって本気になる対象です。
自分で考え、挑戦し、達成する経験が生まれます。
そのため、遊びへの没頭度が自然と高まるのです。
また、高所に登ったり走ったりするので体もよく動きます。
何より、挑戦して成功する体験が喜びや達成感を生みます。
安全との向き合い方
もちろん、子どもの安全は何より大切です。
しかし研究者たちは、安全の重視しすぎにも注意を促しています。
危険を遠ざけるあまり、挑戦の機会まで奪ってはいけません。
怪我を防ぐことと、成長の機会を守ることのバランスが問われます。
ポイント
リスクのある遊びは、幸福感・集中力・運動量のすべてを高めることが分かりました。
日常で活かせること – 実践的活用法・3つ以上の具体策

研究結果を日常にどう活かせるでしょうか。
ここでは、家庭や教育現場で実践できる具体的な方法を紹介します。
大人の関わり方を少し変えるだけで、子どもの遊びは豊かに広がります。
1.見守る勇気をもつ
子どもが少し危ないことをしていても、すぐに止めない姿勢が大切です。
高い所に登る姿を見ると、つい声をかけたくなります。
しかし、子どもは自分の能力を試しながら学んでいます。
本当に危険な時にだけ手を差し伸べる、その距離感が成長を支えます。
2.挑戦できる環境を整える
登れる場所や走り回れる広さを意識して確保しましょう。
公園や自然のある場所に出かける機会を増やすのも有効です。
室内でも、布団でトンネルを作るなど工夫ができます。
子どもが少し頑張れば届く挑戦を用意することがポイントです。
3.子どもの選択を尊重する
リスクのある遊びは、子どもが自ら選ぶところに意味があります。
大人が無理に挑戦させても、同じ効果は得られません。
子ども自身の
「やりたい」
を大切にしましょう。
挑戦を選んだ時には、その気持ちを認める声かけが有効です。
4.失敗も経験として受け止める
転んだり、うまくいかなかったりすることもあります。
その時に大人が慌てすぎると、子どもも怖くなってしまいます。
小さな失敗を受け止め、次の挑戦につなげる姿勢が重要です。
怪我を恐れすぎず、学びの機会として捉える視点をもちましょう。
- 本当に危険な時以外は見守る
- 挑戦できる場所や環境を意識する
- 子どもの「やりたい」気持ちを尊重する
- 失敗も成長の一部として受け止める
まとめ

今回の研究は、リスクのある遊びが子どもを伸ばすことを示しました。
幸福感、集中力、運動量のすべてに良い影響があります。
安全への配慮と挑戦の機会のバランスが、子どもの育ちを支えます。
- リスクのある遊びは幸福感を高める
- 集中力と運動量にも良い影響がある
- 安全と挑戦のバランスが大切
ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。
【参考論文】
Risky Play and Children’s Well-Being, Involvement and Physical Activity
著者: Ole Johan Sando, Rasmus Kleppe, Ellen Beate Hansen Sandseter(2021年)
DOI: https://doi.org/10.1007/s12187-021-09804-5