理科の授業が
「つまらない」
と感じる子どもは少なくありません。
しかし、身近な素材とアートを組み合わせるだけで、子どもの目の色が変わることが分かっています。
2020年にJapan Society for Promotion Science氏とFernan Tupas氏が発表した論文
「Integrating arts in the basic science curriculum」
では、興味深い成果が示されました。
リサイクル素材で作った手作り教材が、理科の学びを劇的に豊かにするというのです。
しかも、地域の自然をテーマにすることで、子どもたちは自分ごととして科学を捉えるようになります。
――そんな研究結果が明らかになりました。
目次
論文の概要 – どんな研究か・誰が対象か

この研究はフィリピンのビサヤ海沿岸地域で行われました。
対象となったのは、K-12基礎教育プログラムで学ぶ子どもたちです。
研究者たちはまず、地域にある海洋資源を丁寧に調べました。
その結果、マングローブ・魚類・サンゴ・海草が特に豊富であると分かりました。
そこで、これらをテーマにした4つの教材を開発したのです。
作品名は
「Mangrovy Kind of Love」
です。
さらに
「Fish Bowl」
「Corals: Bleaching No More」
「Grasses on the Sea」
という3作品も制作されました。
特筆すべきは、これらがすべてリサイクル素材から作られた視覚教材だという点です。
海洋生物学の専門家に監修を依頼し、正確な構造を再現しました。
現地語・英語・学名の3種類を併記する工夫も加えられています。
北イロイロ州の理科教育の専門家たちが、チェックリストを用いて評価しました。
インタビューによるフィードバックも分析されました。
評価結果をもとに教材はランク付けされ、改善へとつなげられたのです。
ポイント
この研究は、地域の自然を教材に変えることで、子どもの科学への興味を高める実践例を示しています。
わかったこと – 難しい内容をやさしく要約

研究から見えてきたことは、大きく分けて3つあります。
1つ目は、手作り教材が理科の授業に大きな可能性を持つという点です。
専門家たちは、4つの作品いずれも高い教育的価値があると評価しました。
2つ目は、小学4年生から中学2年生まで幅広く使えることです。
基礎科学カリキュラムの中で、自然に組み込めることが確認されました。
3つ目は、アートと科学の融合が学習意欲を引き出すという発見です。
子どもたちは、色彩豊かで触れられる教材に強く引きつけられます。
これは、STEMにアート(Arts)を加えたSTEAM教育の理念と重なります。
なぜ手作り教材が効果的なのか
教科書の写真だけでは、子どもは実感を持ちにくいものです。
しかし、立体的で色のついた教材には自然と手が伸びます。
見て・触れて・考える体験が、科学への扉を開くのです。
地域資源を活かす意義
遠い国の生き物より、身近な生き物の方が親しみやすいものです。
自分の住む地域をテーマにすれば、学びが生活とつながります。
環境を守る気持ちも、同時に育つといえるでしょう。
日常で活かせること – 実践的活用法・3つ以上の具体策

この研究から得られる学びは、さまざまな場面で応用できます。
ここでは、家庭や学校ですぐ試せる工夫を紹介します。
1. リサイクル素材で教材を作る
ペットボトルや段ボールは、立派な教材の材料になります。
魚や植物の模型を作れば、理科への関心が自然と高まります。
作る過程そのものが、最高の学びの機会になるのです。
2. 地域の自然をテーマにする
近くの川・公園・海辺には、学びの題材があふれています。
散歩しながら生き物を観察するだけでも効果的です。
その後、観察したものを絵や工作で表現してみましょう。
3. 名前を複数の言語で表記する
日本語・英語・学名を一緒に書くと、世界が広がります。
言語と科学が同時に学べる、一石二鳥の方法です。
国際的な視野も自然と育まれていきます。
4. 専門家の意見を取り入れる
可能であれば、地域の博物館や水族館を活用しましょう。
正しい知識に触れると、学びが深まります。
図書館の図鑑や動画教材も、強い味方になります。
5. アートと科学を組み合わせる
観察した生き物を絵に描いたり、粘土で作ったりしてみましょう。
創作活動を通じて、構造や特徴への理解が深まります。
楽しさと学びが、同時に手に入るのです。
ポイント
完璧な教材を目指す必要はありません。
子どもと一緒に作る過程こそが、何よりの学びになります。
まとめ

アートと科学を融合させるSTEAM教育には、大きな可能性があります。
身近な素材と地域の自然をかけ合わせるだけで、学びは豊かに変わります。
- リサイクル素材で手作り教材を作ろう
- 地域の自然をテーマに選ぼう
- アートと科学を組み合わせて楽しく学ぼう
ぜひ今日から、教育や学びの場で取り入れてみてください。
【参考論文】
Integrating arts in the basic science curriculum: in the context of local marine resources in the Visayan sea
著者: Japan Society for Promotion Science, Fernan Tupas(2020年)
DOI: https://doi.org/10.17485/ijst/v13i11.149967_2020